2013年2月26日、神奈川県大和市の聖セシリア女子高校において3年生120人を対象に講演を行いました。中野路子教諭は、「巣立ってゆく生徒たちに生きるしるべを与えてやりたい」と、卒業を控えた3年生に戦争と平和を考える機会をもうけたいという思いで依頼をされました。高校2年の修学旅行では、長崎県の原爆資料館や平和公園を訪ね、体験者から話を聞くなど原爆投下のことを知り、戦争の恐ろしさや平和の尊さを、今与えられている命の重さなどを学んでいるそうです。広島・長崎の原爆のこと、特攻隊のこと、兵士の餓死の実態や遺骨収集について話しをしました。(安島太佳由)
「あなた達は、被爆体験を直接聞くことができる最後の世代。バトンを次の世代の人たちへ。」
これは修学旅行で長崎を訪れた際、被爆体験を語ってくださった下平作江さんがおっしゃっていた言葉です。私は、この言葉を忘れることができません。この言葉を聞いた時、私の中に使命感が芽生えました。下平さんから受け取ったバトンをきちんと次に繋げなければと強く思いました。この思いは、私を行動する人に変え、活動し続ける原動力になっています。しかし、心のどこかで「戦争を体験していない人が戦争の記憶を語り継ぐことは難しい」、「人の心を動かすほどのパワーはないのではないだろうか」と思っていました。
今日の講演会は、そのような私の考えを変えるものでした。安島さんも私と同じ戦争を知らない世代の人です。けれど、安島さんのお話には私の胸に訴えてくるものがありました。人間にスポットを当ててのお話は、記録ではなく、記憶でした。印象的だったのが、特攻隊で戦死された上原良司さんのお話でした。戦時中の日本で、自由主義という信念を貫いた人がいたことに驚きました。戦争の時代を見るとき一まとめにその時代を生きた人はこう考えていたのだろう、と考えてはいけないと思いました。当たり前のことなのですが、いつの時代も人によって考えていることは違う、ということに気がつきました。人の心を伝えていくこと、それが「語り継ぐ」ということなのだと思いました。安島さんによって、上原良司さんの心は私に届きました。戦争を知らない世代でも「語り継ぐ」ことができるのだと勇気がわきました。私もバトンを渡す人となるために学び、考え、感じることを続けていきたいと思います。